カール径の寸法ばらつきを抑える順送プレス技術|SPC270Cブラケット事例
加工詳細
- 製品名
- VACUUM SENSOR BRKT
- 材質
- SPC270C
- 業界
- 自動車
加工内容・特徴
SPC270C(t1.4)材を用いたブラケット部品において、カール径の寸法安定化を実現した順送プレス加工事例です。金型剛性・位置決め構造・工程バランスを総合的に見直し、高精度な量産を可能にしました。
目次
- はじめに
- 製品概要
- 加工課題
- 解決策
- 成果
- FAQ
- まとめ
- お問い合わせ
はじめに
自動車のエンジン周辺で使用されるブラケットは、取付精度と耐振性が求められる重要部品です。本事例では、SPC270C(板厚1.4mm)の順送プレス製品において、カール形状の寸法ばらつきが発生。工程と金型構造の見直しにより、その安定化を図りました。
1. 製品概要
| 製品名 | センサーブラケット(順送プレス) |
|---|---|
| 材質 | SPC270C |
| 板厚 | 1.4mm |
| 成形方式 | 順送プレス(カール成形を含む複合工程) |
量産初期段階では、カール径が規格内に収まらないケースが散発。要因分析の結果、金型剛性・位置決め・工程負荷に改善余地があることがわかり、構造的な対策を実施しました。
2. 加工課題
● カール径の寸法ばらつき
カール成形時の材料流動や押さえ圧のわずかな違いが内側の応力分布に影響し、
その結果、カール径が設計値からばらつきやすくなる。
● 金型剛性の影響
成形荷重が高くなる工程で金型の微小変形が発生し、再現性が低下して寸法精度へ影響。
● 位置決め精度の問題
工程内での基準ずれが積み重なると、曲げ量・カール径・穴位置などの寸法にばらつきが生じる。
3. 解決策
3-1. 金型剛性の改善
金型ベース・ホルダー・パンチ周辺の剛性を再設計し、応力が集中する箇所を補強。
これにより成形時の変位を抑え、カール部へ均一な成形力を伝達できるようにしました。
3-2. 位置決め方法の見直し
サイド基準から製品中心基準の位置決めへ変更。
ワークが偏荷重を受けにくくなり、カール径の安定性が向上しました。
3-3. 工程バランスの調整
カール形成を複数工程に分割し、大変形を一度で行わない仕様に変更。
材料の塑性流動を均一化し、戻り・反りの抑制につながりました。
4. 成果
- カール径ばらつきの安定化を達成し、量産品質が向上
- 剛性改善で金型寿命が延伸し、メンテナンス頻度を削減
- 位置決めの最適化により、歩留まり改善・不良率低減
- SPC270C材でも高い寸法再現性を維持
5. FAQ
Q1. このブラケットの役割は?
自動車エンジン部のセンサー固定に使われるため、取付寸法の安定が重要です。
Q2. なぜカール径はばらつきやすいのですか?
材料流動・押さえ圧・金型変形など複数要因が絡み、応力バランスが崩れやすいためです。
Q3. どのように改善したのですか?
金型剛性・位置決め・工程負荷を総合的に見直し、成形力を均一化しました。
Q4. 他のカール部品にも応用できますか?
はい。板厚・材質に応じた工程設計により同様の効果が期待できます。
6. まとめ
本事例では、SPC270C(t1.4)材のカール成形における寸法ばらつきを、金型・工程・位置決めの三方向から改善。
順送プレスでも安定生産が可能となり、高精度と量産性を両立しました。
7. お問い合わせ
「SPC270C」「カール形状」「順送プレス」「位置決め」などに関するご相談はお気軽にお問い合わせください。