はじめに
本事例は、C2680R-1/2H(黄銅)・板厚0.5mmを用いたメーター用端子の順送プレス加工です。完成品は30×13×4mm、製品幅1.8mmの極細部を持ち、2ヶ所に曲げを含む立体形状が特徴です。薄板かつ細幅での角度・幅・反り・外観の安定化がテーマでした。
1. 製品概要
| 用途 | メーター用電気端子 |
|---|---|
| 材質 | C2680R-1/2H(黄銅・1/2硬) |
| 板厚 | t = 0.5mm |
| 完成寸法 | 30 × 13 × 4 mm |
| 曲げ | 2ヶ所曲げ構造 |
| 製品幅 | 1.8 mm(極細部) |
| 重点管理 | 曲げ角度/幅寸法/反り/外観エッジ品質 |
2ヶ所曲げの各部位で発生するばね戻りや荷重偏りを把握し、最終形状の再現性を高めるための基準設計・補正設計・搬送安定化が重要でした。
2. 加工課題
- 細幅1.8mmの形状安定性:座屈・反り・ねじれの抑制が必須。
- 2ヶ所曲げの相互影響:角度差・位置ずれが全体寸法へ波及。
- 薄板0.5mmのばね戻り:角度ばらつきが出やすい。
- 抜きエッジの品位:後段曲げの基準面精度に直結。
- 搬送時の姿勢変化:極細部の保護と位置決めが課題。
3. 解決策
3-1. 曲げ位置・角度の事前補正
2つの曲げ部位ごとにばね戻り量を個別測定し、金型側で角度の事前補正を実施。ストリップ上の位置ごとの角度分布も確認して、設計に反映しました。
3-2. 金型剛性とガイドの最適化
曲げ荷重に対するたわみ抑制のため、支持位置・締結レイアウト・ガイド精度を見直し。曲げ部の再現性を高め、各曲げの相互影響を低減しました。
3-3. ブランク形状と基準面の統一
後工程の角度・幅寸法が安定するよう、ブランク段階での補正を適用。基準面と曲げラインを一貫設計し、工程間の位置ずれを抑制しました。
3-4. 搬送・位置決め方法の改善
極細部を保護するため、案内ピン配置・押さえ圧・受け面を最適化。搬送時の姿勢変化を防ぎ、曲げ工程の精度再現性を確保しました。
3-5. エッジ品質と寸法安定の両立
抜きクリアランス・刃先状態・潤滑条件を最適化し、せん断面品質と微小バリ抑制を実現。後段曲げでの基準面精度を安定させました。
4. 成果
- 2ヶ所曲げの角度・位置精度を安定確保
- 製品幅1.8mmの変形・反りを抑制し、歩留まり改善
- 抜き面品質と寸法再現性の両立により外観品質を向上
- 立上げ〜量産での再現性と保全容易性を確立
5. 仕様一覧
| 製品名 | 端子(メーター用部品) |
|---|---|
| 材質 | C2680R-1/2H(黄銅) |
| 板厚 | 0.5 mm |
| 完成寸法 | 30 × 13 × 4 mm |
| 曲げ | 2ヶ所曲げ構造 |
| 製品幅 | 1.8 mm |
| 重点管理 | 角度・幅寸法・反り・外観エッジ |
6. FAQ(よくある質問)
- Q1. C2680R-1/2Hの特性は?
- 加工性・導電性に優れた黄銅材で、1/2硬は形状保持と成形性のバランスが良く、端子に適しています。
- Q2. 2ヶ所曲げの精度はどう確保しますか?
- 曲げ部ごとのばね戻り量を個別に評価し、角度の事前補正と金型剛性設計で位置ずれを抑えています。
- Q3. 1.8mm細幅部の変形対策は?
- ブランク設計で荷重方向と支持位置を整合させ、搬送ガイド・押さえ圧の最適化で座屈・反り・ねじれを抑えます。
- Q4. エッジ品質はどう管理していますか?
- 抜きクリアランス・刃先状態・潤滑条件を管理し、せん断面品質と微小バリ抑制を両立します。
- Q5. 類似材や他サイズでも対応可能ですか?
- はい。銅合金やサイズ違いの端子でも、特性に合わせた金型・工程設計で対応可能です。
7. まとめ
C2680R-1/2H(t0.5)端子において、製品幅1.8mm・2ヶ所曲げを高精度に量産化。ブランク設計、金型剛性、搬送・位置決めの最適化により、角度・幅・反り・外観の安定化を達成しました。薄板・細幅端子でも、順送プレスで再現性の高い品質と生産効率を両立しています。
8. お問い合わせ
「C2680端子」「2ヶ所曲げ」「薄板0.5mm」「順送プレス」に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。