はじめに
本事例は、電気端子用途のPLATE TERMINALにおける順送プレス金型の量産実装例です。素材はC2600R-1/2H(黄銅)で、製品は40mm×5mm×5mmの細長形状。Z曲げと垂直曲げを複合しながら、最終的な平行度・垂直度を安定して満たすことが求められました。
1. 製品概要
| 製品名 | PLATE TERMINAL |
|---|---|
| 材質 | C2600R-1/2H(黄銅) |
| 板厚 | t = 0.8mm |
| サイズ | 40mm × 5mm × 5mm |
| 成形内容 | Z曲げ+垂直曲げ |
| 要求精度 | 平行度・垂直度の高精度維持 |
| 方式 | 順送プレス(金型:多段曲げ) |
C2600R-1/2Hは加工性と導電性に優れる一方、ばね戻りの影響を受けやすく、角度・形状精度の確保が難しい材質です。さらに細長形状では、微小な誤差が反り・ねじれとして顕在化しやすい特性があります。
2. 加工課題
- 細長形状の変形リスク:長手方向への応力集中により反り・ねじれが発生しやすい。
- 複合曲げの影響干渉:Z曲げと垂直曲げの連続加工で前工程の変形が後工程へ波及。
- 厳しい幾何公差要求:最終組立で必要な平行度・垂直度を量産で安定達成する必要。
3. 解決策
3-1. 順送工程の独立化と順序最適化
Z曲げと垂直曲げを独立ステージに分離し、干渉を最小化。初段Z曲げで生じる応力を、後段の垂直曲げで相殺できるよう工程順序と曲げ量を調整し、最終形状の安定性を高めました。
3-3. ばね戻りの事前補正設計
材質特性に応じて金型角度を先行補正。試作で得たデータを基に曲げR・角度を微調整し、量産段階でも平行度・垂直度が安定して規格内に収まるよう設計しました。
4. 成果
- 平行度・垂直度を安定確保(量産基準内)
- Z曲げ+垂直曲げの複合形状を高精度で量産化
- 製品の反り・ねじれ発生率を低減
- 工程最適化により歩留まり・検査効率が向上
5. FAQ(よくある質問)
- Q1. C2600R-1/2Hはなぜ端子に向いていますか?
- 導電性・耐食性・加工性のバランスが良く、薄板曲げとの相性に優れるためです。
- Q2. 平行度・垂直度はどのように維持していますか?
- 工程独立化と角度の事前補正、試作データのフィードバックにより、量産でも安定させています。
- Q3. 細長い形状の反り対策は?
- 曲げ量・順序の最適化で応力を分散し、最終形状で相殺されるよう設計します。
- Q4. 他の銅合金でも同様の精度は可能ですか?
- 可能です。材質特性に合わせた金型角度・クリアランス最適化で対応します。
- Q5. 試作から量産まで一貫対応できますか?
- はい。設計段階の成形性検討から金型製作、試作、量産立上げまで一括対応します。
6. まとめ
PLATE TERMINAL(C2600R-1/2H、t0.8)は細長形状かつZ曲げ+垂直曲げの複合形状で、平行度・垂直度の高い精度が必須でした。工程独立化とばね戻り補正設計により、量産下でも安定精度を達成し、反り・ねじれの発生率を低減。端子部品の品質と生産効率の両立を実現しました。
7. お問い合わせ
「PLATE TERMINAL」「C2600R-1/2H」「Z曲げ・垂直曲げ」「平行度・垂直度管理」に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。