はじめに:事例の背景
自動車の補強・固定用途に使われるGSTブラケットは、取付面が扇状に展開する3D形状が特長です。この形状は曲げ時の応力が集中しやすく、成形中に割れ・亀裂が発生しやすい課題があります。本事例では、順送プレスで主要形状を成形し、その後単発一工程(ピアス&トリム)で外形と穴位置の精度を確保。さらに、トリムラインとベンドタイミングの設計・調整により、ばらつきの抑制と品質安定を実現しました。
主要キーワード:GSTブラケット/順送プレス/単発一工程/ピアス&トリム/JSC270E/トリムライン/ベンドタイミング
1. 製品概要
製品名 | GSTブラケット(順送+単発一工程) |
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材質 | JSC270E |
板厚 | 1.6mm |
形状特徴 | 取付面が扇状に展開する3D形状 |
成形構成 | 順送プレスで主要形状→単発一工程(ピアス&トリム)で穴・外形精度を確保 |
扇状に広がる取付面は材料の流動方向が複雑になり、曲げ応力が局所に集中しがちです。そこで、トリムラインとベンドタイミングを設計段階から連動させ、割れの抑制と3D形状再現性の向上を図りました。
2. 加工課題
- 割れ・亀裂の発生:扇状の取付面で応力集中が生じやすい
- 3D形状のばらつき:一度の曲げ量が大きいと戻りが増え寸法が不安定
- 順送→単発一工程の精度連携:穴位置・外形の最終精度を担保するため前工程の管理が必須
3. 解決策
3-1. トリムライン最適化
曲げ時のひずみ集中を分散するため、トリムラインの位置・形状を検討し、材料流動が素直になるよう設計。これにより、割れ・微細亀裂の発生を抑制しました。
3-2. ベンドタイミング制御
一度に大きく曲げず、ベンドタイミングを段階的に設定。スプリングバックを見込んだ曲げ量配分で、3D形状の角度・位置のばらつきを低減しました。ばらつきの抑制は金型側のベンドタイミングで実現しています。
3-3. 単発一工程(ピアス&トリム)
順送で成形されたワークに対し、単発一工程(ピアス&トリム)で外形と穴位置を仕上げ。工程を一つにまとめることで、位置決めの一貫性を確保し、加工誤差の累積を抑えています。
4. 成果
- 割れ・亀裂の低減:トリムラインとベンドタイミング最適化で不良率を削減
- 3D形状の安定:扇状取付面の角度・位置のばらつきを抑制
- 工程のシンプル化:単発一工程(ピアス&トリム)で最終精度を確保
- 金型負荷の軽減:応力集中の緩和で寿命延伸・保全低減
仕様一覧
材質 | JSC270E |
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板厚 | 1.6mm |
成形構成 | 順送プレス → 単発一工程(ピアス&トリム) |
設計要点 | トリムライン最適化/ベンドタイミング制御 |
品質管理 | ばらつき監視・角度/位置測定・保全標準化 |
まとめ
本事例では、順送プレスで3D形状を成形し、単発一工程(ピアス&トリム)で外形と穴位置を高精度化。トリムラインとベンドタイミングの設計・調整により、割れ・亀裂のリスクと3D形状のばらつきを抑制しました。結果として、品質安定と工程の簡潔化を両立しています。
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