黄銅C2600端子の順送プレス事例｜Z曲げ×垂直曲げで平行度・垂直度を安定化

はじめに

C2600R-1/2Hは導電性・加工性のバランスに優れる一方、曲げではばね戻りの影響が出やすく、
角度・形状精度の作り込みが必要です。さらに細長形状では、わずかな誤差が反り・ねじれとして
顕在化しやすくなります。本事例では、工程構成と補正設計を整理し、量産での安定化ポイントをご紹介します。

1. 製品概要

本製品は小型・細長形状のため、曲げ角度のズレだけでなく、工程内の姿勢変化や応力の偏りが
平行度・垂直度に直結します。そこで、工程を分けて干渉を抑えつつ、
ばね戻りを前提とした補正で精度を収束させています。

2. 加工課題

• 細長形状の変形リスク：長手方向に応力が集中しやすく、反り・ねじれが発生しやすい
• 複合曲げの干渉：Z曲げと垂直曲げの連続加工で、前工程のひずみが後工程に影響しやすい
• 幾何公差の安定化：最終組立に必要な平行度・垂直度を、量産で安定して維持する必要がある

3. 解決策

3-1. 工程の独立化と順序最適化

Z曲げと垂直曲げを別ステージに分離し、各工程の役割を明確化しました。
前段のZ曲げで生じやすいひずみが後段へ引きずられないよう、曲げ量の配分と
工程順序を最適化し、複合曲げの干渉を抑えています。

3-2. 形状拘束と姿勢の安定化

細長ワークは姿勢が崩れると、角度だけでなく平行度・垂直度にも影響します。
そこで工程内でのワーク姿勢が変わりにくいよう、拘束のかけ方と
当たりの作り方を調整し、曲げの再現性を高めました。

3-3. ばね戻りの事前補正（初期トライの実測に基づく）

初期トライ段階で実測した戻り量をもとに、事前補正角度を織り込んだ曲げ設計を採用しました。
曲げRや角度の微調整を行い、量産でも平行度・垂直度が規格内に収束する条件を作り込みました。

4. 成果

• 平行度・垂直度を量産で安定確保（基準内で管理）
• Z曲げ＋垂直曲げの複合形状を高精度で量産化
• 反り・ねじれの発生率を低減
• 工程の安定化により、歩留まり・検査効率が向上

5. FAQ（よくある質問）

Q1. C2600R-1/2Hはなぜ端子に向いていますか？

導電性・耐食性・加工性のバランスが良く、端子用途で扱いやすい黄銅材のためです。

Q2. 平行度・垂直度はどのように維持していますか？

工程の独立化と姿勢安定、ばね戻り補正（初期トライの実測反映）を組み合わせ、量産でも再現性を確保しています。

Q3. 細長形状の反り対策は？

曲げ量と順序の最適化に加え、工程内での拘束・当たりを整え、形状が崩れにくい状態で曲げることがポイントです。

Q4. 他の銅合金でも同様の精度は可能ですか？

可能です。材質ごとの戻り特性に合わせて、角度補正や工程配分を調整します。

Q5. 試作から量産まで一貫対応できますか？

はい。金型製作、初期トライ、量産立上げまでの流れで、寸法が安定する条件づくりを進めます。

6. まとめ

C2600R-1/2H（t0.8）の端子部品は、細長形状に加えてZ曲げ＋垂直曲げの複合曲げとなるため、
平行度・垂直度の安定化が難しいテーマです。
本事例では、工程の独立化と姿勢安定、初期トライ実測に基づくばね戻り補正を組み合わせ、
量産での安定精度を実現しました。

7. お問い合わせ

「黄銅端子」「C2600R-1/2H」「Z曲げ・垂直曲げ」「平行度・垂直度管理」に関するご相談は、
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